富山大学の「知的財産ポリシー」は15の項目からなっています。
大学の使命は,「教育」と「研究」ですが,そこから生み出される「知」を社会に還元する「社会貢献」が,近年,大学に求められるようになりました。大学の社会貢献の方法としては,次の2つが代表的なものです。
企業などからみると,「論文発表」は,全ての企業が新しい知見を取得できるため,論文に基づく技術や製品は,差別化できず投資しにくいといった点が問題となります。
一方,「特許など知的財産権の取得・活用」は,技術を独占的に実施できるため,企業は安心して技術開発・製品化できるといったメリットがあります。
大学が,特許など知的財産権の取得・活用を図り,産学連携を進めるためには,まず,知的財産ポリシーにより大学の考え方を企業などに公表しておくことが好ましいと考えられます。
ポリシーでいう「知的財産」は,職員等が職務として行う教育,研究,地域・国際社会貢献の活動から生み出されるもののうち,財産的価値を持つものです。また,ポリシーは,「知的財産」の創出,取得,管理,活用を図るための指針を定めています。
富山大学と雇用関係にある者(役員,職員,契約職員など役員・職員就業規則等に定めのある者)に適用されます。また,本学と雇用関係のない者(大学院生など)については,その者と合意の上,知的財産に関わる権利を本学が承継する場合には対象者となります。
ポリシーの知的財産の範囲は次とおりです。
発明など知的財産を創出したときは発明届出書を提出して下さい。
発明審査会で,届出のあった知的財産が職務上創出されたものか否かを認定し,さらにその権利を大学が承継するかを審査します。
職務発明の認定の際には,発明者を特定する必要があります。また,特許を受ける権利を持つ者が出願人となりますので,発明者と出願人の区別を知っておくことが大事です。
「発明者」と「発明者でない者」は以下のとおりです。
「発明者」,「出願人」,「特許を受ける権利」の関係は以下のとおりです。
「発明者」となれるのは自然人だけです。そして発明者には「特許を受ける権利」が発生します。
「特許を受ける権利」を持つ者が「出願人」となれます。但し,「特許を受ける権利」は発明者から法人などに移転することができます。発明者が「特許を受ける権利」を全部譲渡した場合,「発明者」としての名誉のみが残ります。
「職務発明」は,富山大学職務発明規則第2条第7項で以下のように定義しています。
この規則において「職務発明等」とは,本学が費用その他の支援をして行う研究,本学が管理する施設設備を利用して行う研究又は,職員等が職務を遂行する過程で創出した発明等をいう。
発明審査会では,発明届に記載された発明者について,「発明者」であることの確認後,新富山大学の職務発明規則の規定に照らし合わせ職務発明に該当するか否かを判断します。
さらに,職務発明と認定された発明は,以下の場合を除き,大学が「特許を受ける権利」を承継します。
大学では,「特許を受ける権利」,「特許権」を譲渡した職員に補償金を支払います。
発明審査会の判断に対して職員等は異議を申し立てることができます。異議は不服審査委員会で審議します。
研究等の成果を知的財産権として権利化する効果は以下のとおりです。
知的財産権の維持の要否を定期的に検討し,特許権等の維持を要しないと判断したものについては,放棄又は当該特許権等を創出した職員等に譲渡します。
権利化,維持,活用などに必要な費用は大学が負担します。
特許などの出願や共同研究などの契約において,知的財産の創出に関わる情報(実験データ,ノート,メモ,技術情報など)は,当事者間の秘密として管理しておかなければなりません。
そのため,知的財産の創出及びそれに関わる情報に関与した職員等は,必要な期間,その秘密を守らなければなりません。