しらさぎプロジェクト大学開放特許データベース(単願&発明者検索)

研究者詳細情報
研究者 中路 正
大学 富山大学 工学部環境応用化学科
研究室名 生体材料設計工学
専門分野 高分子・繊維材料 生体医工学・生体材料学
研究テーマ ・細胞を厳密に制御するためのバイオマテリアルの創製
・細胞を高効率に増幅または高純度で分離するシステムの構築
・生体適合性を有する界面の創製
・高分子による表面の改質
検索キーワード
キメラタンパク質 / 再生医療 / 再生医工学 / パーキンソン病 / ドーパミン神経 / 移植用材料 / 人工ニッシェ / 細胞移植用材料 / 作用機序 / 幹細胞移植医療 / 幹細胞 / 幹細胞移植治療 / インジェクタブルゲル / シグナル伝達 / パーキンソン病治療 / キメラ蛋白質 / 分化誘導 / タンパク質担持 / 細胞移植 / 機能性ハイドロゲル / 人工臓器工学
PR URL http://nakaji-lab.net/top_nakaji_laboratory.html
PRタイトル名 難治疾患の再生医療を支える高機能バイオマテリアル
PR詳細文 (図) 私たちは「人の病気を治すバイオマテリアルの開発」を目指しています。その中でも特に、現状では治療が困難とされる「難治疾患」にターゲットを絞り、難治疾患の再生医療に貢献できる材料の開発・研究を行っています。中路研究室は2015年4月に発足した将来性のある研究室です。世界に先駆けた「高機能医療材料」の開発と実用化、バイオマテリアル研究者・技術者の輩出(人情・マナーを兼ね備えた明るく楽しい人材の育成)を研究室の目標とし、病気に立ち向かう医師にとって最強の武器を創ることができるよう日々研究に取り組んでいます。
特許

出願番号:2014-223366 / 特開番号:2016-088869 / 登録番号:6516235

キメラタンパク質及びそれを用いたミクログリア活性阻害剤

【課題】必要とする時に且つ局所的に作用する抗炎症性サイトカインを放出するキメラタンパク質及びこれを用いたミクログリア活性阻害剤の提供を目的とする。

【解決手段】抗炎症性サイトカインに酵素分解性ペプチド及び基材結合性ペプチドを、その順に融合したキメラタンパク質であって、前記酵素分解性ペプチドは脳内に有するミクログリアの活性化により産生されるマトリックスメタロプロテアーゼ類により切断されるものであり、前記基材結合性ペプチドは天然ハイドロゲルからなる基材と分子間相互作用により結合可能であり、前記抗炎症性サイトカインは、前記ミクログリアの活性化を抑制するものであることを特徴とする。


出願番号:2013-544237 / 特開番号:再表2013/73454 / 登録番号:6099098

生理活性物質徐放制御組成物

【課題】生体内にて必要な時機に生理活性物質を放出開始するように制御できる生理活性物質徐放制御組成物の提供を目的とする。

【解決手段】生理活性物質を担持した生分解性物質からなる内層と、当該内層とは異なる生分解性物質からなる外層とからなる。


論文

(1)Compendium method for surface modification with zwitterionic polymers and application to biomaterial development

Miku Nishida, Tadashi Nakaji-Hirabayashi, Hiromi Kitano

PacifiChem2015, 2015年12月


(2)Construction of thin gel layer on the material interface using polymer brush and interpenetrating polymer network.

Yuka Yamazawa, Tadashi Nakaji-Hirabayashi, Hiromi Kitano

PacifiChem2015,2015年12月


(3)Complex film of chitosan and carboxymethyl cellulose nanofibers,Colloids and Surfaces B

Takuma Kawasaki, Tadashi Nakaji-Hirabayashi, Kazuhira Masuyama, Satoshi Fujita, Hiromi Kitano

Biointerfaces, 139, 95-99, 2015


(4)Temperature-responsive copolymer brush constructed on a silica microparticle by atom transfer radical polymerization

Nomura K., Makino H., Nakaji-Hirabayashi T., Kitano H., Ohno K.

Colloid and Polymer Science, 293, 851-859, 201507


(5)Optimization of surface-immobilized extraoellular matrioes for the proliferation of neural progenitor cells derived from induced pluripotent stem cells

Komura, K.; Mikuni, S.; Nakaji-Hirabayashi, T., Iwata, H.

Biotechnology and Bioengineering, 112(11), 2388-2396, 2015


科研費

(1)パーキンソン病治療用多機能ハイドロゲルの実用化に向けた階層的評価

若手研究(A) 2015-04-01 ~ 2019-03-31

これまでに、パーキンソン病の有力な治療法と目される神経前駆細胞移植において、移植細胞生着率の大幅向上と、生体内での細胞制御が可能なハイドロゲルシステムの開発に成功し、パーキンソン病の病態を大きく改善できることを見出した。これは、パーキンソン病治療の大きな発展につながる。しかしながら、ドーパミン神経網と他の神経網との連結など、どのようなイベントが起こり病態改善まで至るのか未だ全容がつかめていない。そこで、不明な点の解明および知見の集積を進め、開発したハイドロゲルシステムの有効性を立証することで、実用化への足掛かりを築くこと目的としている。
本年度は、①移植した細胞の組織内でのドーパミン神経への誘導の経時的な追跡、および、②神経網再建とハイドロゲルの消失・移植細胞の組織への統合に関する評価についてを進めてきた。その結果、神経前駆細胞からドーパミン神経への段階的な誘導を観察でき、その細胞がネットワーク構造を形成していることが分かった。しかしながら、パーキンソン病態の改善は、これまでの結果と同様に認められたにもかかわらず、移植細胞のドーパミン神経への誘導効率が予想していたほど大きくなく、アストロサイトへの分化が30%程度認められ、これまでの結果と少し異なる、解釈が困難な結果が得られた。この点について、ホスト細胞の浸潤によるものである予想も踏まえ、再現実験を行うこととし、当初の計画より遅れることになったが、現在、再実験を行い、28年度夏頃までに、結果をまとめ次の段階に進める予定である。②に関しては、MRIによりハイドロゲルの消失を追跡したが、約3ヶ月でほぼホスト組織に置き換わっていることが示された。この点については、材料設計段階から予想された結果とほぼ同様であり、目的通りの結果といえる。


(2)幹細胞制御機能を有するタンパク質担持基材の分子設計

新学術領域研究(研究領域提案型) 2012-04-01 ~ 2014-03-31

本年度は、材表面に担持したタンパク質が細胞と相互作用したさいの挙動について、さらに長期間での評価、また、基材表面に担持されたタンパク質のより詳細な特性解析を進めてきた。まず、昨年度の評価方法と同様にして、Western blottingによる受容体リン酸化およびreal time RT-PCRによる受容体mRNA発現についても経時的に評価した。さらに、細胞に作用した基材担持タンパク質の挙動を長期間(約5日)、全反射蛍光顕微鏡(基材表面からの脱離について追跡)および共焦点レーザー蛍光顕微鏡(細胞内の蛍光を観察)により評価した。生物学的な評価結果として、培養3日目までは、継続して高いリン酸化状態(液性作用に比べてリン酸化受容体量は約3.5倍)にあることが分かった。また、mRNA量は、細胞が基材担持タンパク質に作用し始めた直後から減少し、培養4日目では200分の1以下に低下していることが分かった。一方で、基材上の担持タンパク質は、培養1日までは、基材上のタンパク質担持量に変化が見られなかったのに対し、経時的に徐々に減少、つまり、脱離する傾向が認められた。これらの結果を総合すると、担持タンパク質は、基材にアンカーリングされていることにより、取り込まれにくい状態にあるが、徐々に細胞に相互作用を剥がされる形で取り込まれているのではないかと考えられる。4日目でシグナル伝達量が減少しているのは、徐々に脱離し取り込まれることによって、基材上のタンパク質が枯渇しだすためと考えられる。さらにmRNA量の減少は、受容体が取り込まれにくくなっているため、表面に十分受容体が存在し続けるためと考えられる。


(3)タンパク質製人工ニッシェの構築-パーキンソン病治療への応用-

若手研究(B) 0000-00-00 ~ 0000-00-00

本研究課題では、パーキンソン病治療のための細胞移植に用いる、移植細胞の生存補助や分化誘導を担うタンパク質を組み込んだ、新規ハイドロゲル材料の創製に関して研究を進めてきた。特に、移植細胞の炎症反応からの保護、細胞接着足場の提供、移植細胞のドーパミン作動性細胞への分化誘導システムの構築、の3点を設計コンセプトに掲げて材料創製を試みた。主要な成果として、本研究で設計した材料を用いることにより、移植細胞の生存率を向上させることができ、また、分化誘導を厳密に制御できることが明らかとなった