しらさぎプロジェクト大学開放特許データベース(単願&発明者検索)

研究者詳細情報
研究者 田端 俊英
大学 富山大学 工学部 工学科
研究室名 生体情報処理研究室
専門分野 神経生理学・神経科学一般
研究テーマ 生体内における高度かつ高速の情報処理のメカニズムを明らかにするため,イオン・チャネルや受容の機能解析を軸とした実験研究を行っている.研究対象となる組織は脳・神経系,心臓,網膜などである.その知見は人工知能等のアーキテクチャにも大きなヒントとなる.
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特許
論文

A590T mutation in KCNQ1 C-terminal helix D decreases IKs channel trafficking and function but not Yotiao interaction

K. Kinoshita, T. Komatsu, K. Nishide, Y. Hata, N. Hisajima, H. Takahashi, K. Kimoto, K. Aonuma, E. Tsushima, T. Tabata, T. Yoshida, H. Mori, K. Nishida, Y. Yamaguchi, F. Ichida, K. Fukurotani, H. Inoue, N. Nishida

Journal of Molecular and Cellular Cardiology 72 273 - 280 2014年07月


小脳 B 型ガンマ-アミノ酪酸受容体活性化による視機性動眼反射順応の変調

白井義啓, 篠島俊史, 内山 周, 竹腰昌広, 津島永吉, 田端俊英

薬学雑誌 134 ( 3 ) 439 - 445 2014年03月


C-terminal helix D of KCNQ1 contributes to normal IKs channel function

T. Komatsu, K. Kinoshita, K. Kimoto, Y. Hata, K. Aonuma, E. Tsushima, K. Nishide, N. Hisajima, H. Takahashi, K. Fukurotani, N. Nishida, T. Tabata

Journal of Physiological Sciences 64 S130 2014年03月


The synaptic targeting of mGluR1 by its carboxyl-terminal domain is crucial for cerebellar function

Y. Ohtani, M. Miyata, K. Hashimoto, T. Tabata, Y. Kishimoto, M. Fukaya, D. Kase, H. Kassai, K. Nakao, T. Hirata, M. Watanabe, M. Kano, A. Aiba

Journal of Neuroscience 34 ( 7 ) 2702 - 2712 2014年02月


Glycine/serine polymorphism at positon 38 influences KCNE1 subunit’s modulatory actions on rapid and slow delayed rectifier K+ currents

Y. Yamaguchi, K. Nishide, M. Kato, Y. Hata, K. Mizumaki, K. Kinoshita, Y. Nonobe, T. Tabata, T. Sakamoto, N. Kataoka, Y. Nakatani, F. Ichida, H. Mori, K. Fukurotani, H. Inoue, N. Nishida

Circulation Journal 78 ( 3 ) 610 - 618 2014年01月


科研費

ヘテロGPCR変調によるシナプス可塑性調整機構:表面プラズモン共鳴による解析

基盤研究(C) 2014-04-01 ~ 2018-03-31


塩誘導性キナーゼ2(SIK2)による神経生存制御機構の解明と応用

基盤研究(B) 2011-04-01 ~ 2014-03-31

認知症治療薬に鋭敏に反応して行動が変化する自然発症マウスTS3の遺伝子を解析し、小脳NMDA受容体のシグナリングが弱まっていることを電気生理学的に解明した。また視機性動眼反射学習の成績が野生型マウスにくらべて著しく低下しており、このようなTS3マウスの行動学的評価を指標とすることで、さまざまな薬物の認知症に対する薬効をスクリーニングできる可能性が示唆された。


神経変調因子の脳局所ダイナミクスとGPCR相互作用を介した学習効率の制御

基盤研究(C) 2011-04-01 ~ 2014-03-31

申請者グループは先行研究において、小脳プルキンエ細胞が発現する1型代謝型グルタミン酸受容体mGluR1にB型ガンマ・アミノ酪酸受容体(GABAbR)が複合体化しており、脳髄液レベルのGABAを投与するとmGluR1介在性のプルキンエ細胞のグルタミン酸応答性低下が促進されることを報告した。このグルタミン酸応答性低下は小脳関連学習を支えるシナプス可塑性(小脳長期抑圧)の素過程である
ことから、神経活動依存的な脳髄液GABA濃度の増減に応じて、小脳長期抑圧が促進/阻害され、学習成績が変化する可能性がある。一般に、学習成績には個体差があり、同じ個体においても脳全体の活動等の影響を受けて変化する。GABAbRによるシナプス可塑性の変調は学習効率変化の分子機序の一部である可能性が考えられた。
 これらの可能性を検討するため、マウス個体において小脳長期抑圧が関与する視機性動眼反射(OKR)順応学習(物体を追尾する反射性眼球運動の物体に対する追随性がトレーニングにより向上する現象)を測定した。小脳片葉にGABAbRアゴニストを投与した場合、第1日目の1時間トレーニング中の学習成績推移には影響が見られないものの、第2日目のトレーニング開始時に前日に達成した成績が維持されていた。なお、上記測定に用いた測定システムのハード/ソフトウエアを改良し、次年度以降の実験項目においてより高精度にOKR順応学習を解析できる測定システムを開発した。
 本研究ではさらに、マウス個体の自発的神経活動により生じた脳髄液GABAの濃度と小脳関連学習の成績の相関を検討しようとしており、そのための高感度の高速クロマトグラフィー-電気化学検出(HPLC-ECD)システムを開発した。開発したシステムはnMオーダーのGABAを検出でき、脳髄液サンプル中のGABAの濃度変化(数十~数百nM)を十分に解析できるものとなった。


ヘテロGPCRセルセンサーによるシナプス可塑性と学習の制御

特定領域研究 2009-04-01 ~ 2011-03-31

我々は、小脳プルキンエ細胞に発現する1型代謝型グルタミン酸受容体mGluR1と別種のGタンパク質共役性受容体(B型GABA受容体GABAbRおよびA1アデノシン受容体A1R)の機能的連関の生理的意義と機序の解明を目指している。前年度の研究で示唆されたGABAbR活性化がmGluR1介在性の視機性動眼反射(OKR)順応(長時間動く視覚パターンに暴露することで、パターンに対する眼球の追随性=OKRゲインが向上する学習)を促進する可能性を、別の実験者チームに検証させ、上記観察が高い再現性を有することを明らかにした。トレーニング初日のOKRゲイン増加の時間的推移にはGABAbRアゴニストを小脳片葉に注入したマウス群と統御群との間に差異が認められなかったが、トレーニング2日目において注入群は初日に達成したゲインを保持していたのに対し、統御群は保持していなかった。同じ注入法により局所麻酔剤を投与するとトレーニング初日のOKRゲイン増加が消失したことから、小脳片葉のOKR順応に対する関与が確認された。また上記実験で用いた自主開発のOKR測定装置が極めて高い精度で学習成績を評価できていることが確認された。これらの結果は、GABAbRの活性化がOKRに関する長期記憶の固定プロセスを促進する可能性を示唆している。またin vivoの小脳片葉で誘発された小脳長期抑圧を、シナプス画分のグルタミン酸受容体GluR2サブユニットの減少として捉えるimmunoblot解析方法を確立し、in vivoにおけるGABAbR活性化の小脳長期抑圧に対する効果を精査中である。一方、上窪らと共同でNeuro2a細胞株に発現させたmGluR1とA1Rが機能的および物理的に相互作用することを示唆するデータを得た。この結果は、これら受容体の相互作用がニューロン種特異的な細胞内環境に依存しないことを示唆している。


Gタンパク共役型受容体クロストークによるシナプス可塑性と学習の制御

基盤研究(C) 2008-04-01 ~ 2011-03-31

培養マウス小脳プルキンエ細胞を用いた電気生理学的解析により、リガンドを受容したアデノシン1型受容体A1RはG_<i/o>タンパク質非依存的に1型代謝型グルタミン酸受容体mGluR1のグルタミン酸感受性を低下させ、mGluR1が誘導する小脳長期抑圧を阻害することが示唆された。マウス個体を用いた行動学的解析においては、B型γアミノ酪酸受容体GABAbRを活性化させると、小脳長期抑圧依存的運動学習が促進された。以上の結果は、脳髄液中の神経変調因子を受容するA1RやGABAbRがmGluR1を機能修飾してシナプス可塑性と学習を制御する可能性を示唆している。